壮大なる現実逃避
私は20年ほど前、寝落ちしそうな状態で本を読んでいたとき、
─クジラの祖先はパキケトゥスという陸生動物でした。
という記述とその動物のイラストに出会い、一気に目がさめました。それはほとんどオオカミでした。
衝撃ですよ。だって、もともと動物は進化の過程で海から陸へ上がったんです。この子も(!?)、すごい時間をかけてオオカミにまで進化したんです。なのに、なぜまた海に戻り、あんなに欲しかった足を退化させ、魚に戻ったのか。(魚のような形、という意味ですよ。)
パキケトゥスのイラスト、ネットにはいっぱいあって、載せたいんですが、ネット上の画像は無断使用しないほうがよいと弁理士が言うので、森下画伯が自分で正確に描きました。その衝撃の姿が、これです。
どうですか。誰が見ても、オオカミですよね。(あれ?)
これ、動物としては、完成形じゃないですか。まあ、車で言えばマイナーチェンジぐらいでヒョウとかチーターになれます。私なら絶対にチーターです。
── 陸で、そんなにいやなことがあったのか……。
いじめでしょうか。
パキケトゥスはもとのすみかである海に戻り、5000万年の歳月をかけ、現在のクジラになりました。
地上からの逃避。
気が遠くなるような、この現実逃避。
なんか、疲れたおやじには沁みすぎますよぉ。
クジラたち、いま深い海底で、幸せだとよいですが、、