プライムワークス国際特許事務所 代表森下のブログです。
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天然!?

 世の中には『天然』と呼ばれる人たちがいます。私のまわりにもこんな例がありました。

① とにかく、よく標識にぶつかる。(額を縫ったこともある。)

② バーテンに「ウイスキーの飲み方は?」と聞かれ、「座って」と答えていた。

③ 中国の正式名称は「中華人民共和国民主主義」と言っていた。(ある意味、レベル高い。)

④ 中華料理店でデザートに「レーニンどうふ」と頼んでいた。

⑤ テストでカンニングしたとき、相手の学生番号まで写し、あわてて二重線で消した。(番号見えてますが・・・)

⑥ 「ライオンの雌はトラ」と断言。(この人22才。)

 

 芸能界にも天然キャラと言われる人は多くて、たとえばTOKIOの長瀬くんは、  

⑦ 風呂場で目の下まで湯船につかっていて、「何してる?」と聞かれ、「カバの目線で世界を見てる」

⑧「人生の転機は」と聞かれ、「母が産んでくれたとき」

 (^_^)v

 

 私が観察するに、天然と言われる人たちの共通点は、自分は天然とはまったく思っていないことですね。そこが魅力なわけですが、まあ自覚があれば天然でいつづけるのは困難です。

 さて、ここからが分析ですよ。上の例から天然にもタイプがあることがわかります。すなわち、

(1)知識合体型

 ③の中国といえば思想がらみの話も多く、なんたら主義と合体します。④も中華料理は中国で、隣国の著名人はレーニンです。⑥は思考プロセスが不明ですが、「ライオンの雌には、たてがみがない」がスタート点であることは確かです。「たてがみと言えばシマウマ」「シマウマのたてがみは白黒ツートン」「ツートンはトラ」でしょうか。古代文明の謎を解く気分です。

(2)空白型

 ①は歩きながら意識が飛んでいる感じです。②も心ここにあらずです(たぶん)。⑤も手だけ動いています。しかし、この型は侮れず、実は人の何倍も脳が働いていて、そのために目の前の処理ができないケースがあると感じます。そういえば、ニュートンはネコが好きで、家のドアにネコが通る孔を開けました。そのネコが子供を産んだとき、彼は子ネコ用の小さな孔を別に開けたと言います。(アイザック・アシモフの本にそのエピソードがありますよ。)

(3)アート萌芽型

 ⑦⑧なんて、まさに「アートが生まれる予感」がありませんか。発明家で都知事選にも出て有名になったドクター中松は、「風呂に潜って窒息する寸前にアイデアが浮かぶ」とどこかで書かれていました。この型は一見怪しいんです。

 

 ただ、「アート」といえば、(1)の「トラはライオンの雌」や、(2)のニュートンの孔だって、その感性の延長にはアートが見え隠れしています。つまり、「天然」と言われる人たちに共通するのは、「アートへの軌道に乗っている」ということです。(どーですか。高尚でしょ?) 

 天然というテーマは昔から気になっていました。今後掘り下げてみたいと思います。ちなみに、私は残念ながら(!?)天然ではありません。せいぜい、買い物をして商品を受け取らずに帰ったり、内科へいくつもりがなぜか隣の小児科に入り、やたら子供が多くて憤慨したり、靴紐をほどくたびに「ダマ」(結び目)ができてしょっちゅう靴紐を買い換えたり、

 まあ、この程度ですから、破壊力のかけらもありません。

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おおむかし、北海道の美瑛で。しかし、場所がわからず、探しています。

 

凸凹あらば、はめてみよ

 交換が必要な部品と言うものがあります。例えば、エアコンのフィルター、携帯電話の画面(割れたとき)、プリンターのインクなどです。これらは「交換部品」とも呼ばれます(まんまか)。

 交換部品はふつうもとの装置(エアコンとか)を販売したメーカー(A社とします)が提供します。その場合、交換部品は「正規品」です。しかし、A社とは違うメーカーが提供することもあります。代替品です(注1)

 代替品が正規品同等の品質ならよいですが、粗悪品のこともあります。昨今、日本製品に対し、主に海外の粗悪な代替品が交換部品として流通することがあり、多くの日本メーカーが困っています。私のお客様もそういうお話をされます。

  で、ここからが私なりのひとつの解決策の提案です。答えから言うと、

 「交換部品の取り付け部分の形を社の登録商標の形にする」

 わかりにくいですね。図1は本体(A社の製品)の先端で、ここに交換部品を取り付けるとします。この先端に丸いでっぱり(矢印)があります。交換部品は逆に、丸い凹みがあります(図2)。ブロックのように、丸い凹凸をかっちりはめて接続します。

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 図3はでっぱりが「T」字の場合です。図4はそれにはまる「T」字の凹みです。で、この「T」がA社の登録商標(注2)とします。絵が描きにくいので「T」にしましたが、たとえば「SONY」という文字列だと思ってください。

 代替品メーカーは部品の先端に「T」(つまり「SONY」)という文字を彫るしかなく(図4)、これはA社の許諾がなければ、A社の商標権の侵害となります。これなら商標権侵害で代替品の流通を止めることができるのです。

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  どうですか (*`▽´*)

 

 もちろん、彫るのは短い名前じゃないと厳しいです。世界一長い名前の会社は日本にあり、

 株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ

 というそうですが、これを彫るのは辛いです。

 まあ、社名でなく、図形の商標にすべきですね。三菱のマークなんて、凹凸にしたらかっちりはまりますよ(図5)。誰かこの発想で部品作ってくれないかなぁ・・・。

 

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注1  「代替」は「だいたい」ですが、「だいがえ」という人もいます。きしょく悪くて嫌ですが、どうも1970年代から一部の国語辞典でも許されているようです。きしょく悪いですねぇ。

注2 正確には、交換部品を指定商品に含む、図4の形の立体商標というべきかもしれません。

 

無色透明・無味無臭

 

 去年、「考える水」と言う記事を書きました。所員から「代表がこんなアホなものを書いていて大丈夫?」というありがたいコメントをいただきましたので、水についてまた書きます。

 水の特徴は「無色透明」、そして「無味無臭」です。「味はある、エビアンと富士の天然水は違う」とか、今日はそんなグルメな話ではなく、ばっくり言っていますよ。

  無色透明無味無臭、考えれば考えるほど、ありがたいですねぇ。手を洗うとき、水に色が付いていたらイヤですよね。洗うほど青くなったり。洗濯物が全部赤くなったり。。水がチーズの味だったら、風呂がフォンデュ。絶対に入りません。水がクサヤの味で、淹れたコーヒーからそのアロマがたったら。。

 水になんのクセもないので、私は本当に幸せです。(なんかヘン?)

  で、ここからが人類の起源にかかわる哲学的考察。以下、「無色透明無味無臭」を3Mと略しますよ(3つのMは、無色透明、無味、無臭)。

 

 「水は本来3Mなのか、人がそう感じるように進化したのか」

 

 何アホなこと言っとるんじゃ、と突き放すほど私のハートは強くありません。心が哲学してしまいます。

 結論的にいうと、「人が進化して、水を3Mと感じるようになった」と私は考えます。水が最初からそんな都合のよいものであったわけはなく、人がそう感じるように適応したと。適応しなければ日々の生活が辛すぎるためです。ただ、その適応は自分でもわからないほど、一瞬なんだけども。

  「水は本来3Mなのか」は、地球人とはだいぶ違う環境で生きている宇宙人を何種類か(「種類」は失礼か)連れくればわかります。中には水をすごく苦く感じたり、死んでしまう宇宙人もいるかもで、なら、水は本来3Mとは言えません。(知り合いいませんか?)

 宇宙までいかなくても、地球にも「嫌気性生物」というのがいて、あんなにおいしい酸素(ってこれも無味か)で死ぬこともあるのです。そういうのを「偏性嫌気性生物」というそうで、wikipediaによれば、

 

 偏性嫌気性生物は発酵および嫌気性呼吸を行う。通性嫌気性生物は酸素の存在下では好気呼吸を行い、酸素がない場合には発酵を行うものもあれば嫌気性呼吸を行うものもある。耐酸素性細菌は厳格に発酵的である。

 

 どうですか。「厳格に発酵的である。」なんて言われると、「先生、さっぱりわかりません!」なんて言えないですよね。

 まあ、それはよいとして・・・。

 3Mのうち「無色透明」については、人類の進化と関係なく、人類の誕生前からそうだった気もします。透明は光との関係で決まる性質なので、同じ光の中にいる(?)宇宙人でも、地球人同様、透明は透明、不透明は不透明と感じそうです。

 とはいえ、もちろん自信はありません。宇宙人の中には鉄板の裏の映像が見えるのに、水の中の映像が見えないタイプがいるかもしれません。

  などと、ハートが弱い私は、いろんな宇宙人の感じ方まで気になり、たった7時間しか眠れなくなります。

 こういう感覚を共有できる人、いないかなぁ、、、

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海辺のカフェで。

 

『このたび、めでたく孤立しました。』

 特許事務所をはじめて19年になりました。たまには振り返ります。

 2000年に「森下国際特許事務所」としてスタートしました。それまで産学共同のシンクタンクにいました。しかしそこが諸般の事情で立ち行かず、当時の社長から「きみは資格があるから、どこかで食ってくれ」と言われました。

 特許事務所を探しました。しかし、とんでもない夜型(むしろ一周まわって朝型)の私は、社会適応性が低いのです。内定をもらった事務所の所長に連れられ、飲みに行ったとき、勇気を出して聞きました。

 「朝は何時からですか?」

 「9時だよ、聞いていない?」

 「いや、聞きました・・・。全員ですか?」

 そのとき、所長さんがギロリと睨んだ目を忘れません。

  ・・・おまえ、何言っているの??

ですよ。こわ。

 だけど、何時に働こうが、結果を出せばいいじゃないですか(急に正論めく)。

  結局、入れません。ふたつめも、みっつめも。。

 

 そんなとき、尊敬するロシアの先生から、

 「森下、これを産業化してくれ」

 論文が来ました。考えてみれば(考える必要もないけど)、そんな仕事、ふつうの特許事務所ではできません。腹をくくりました。

 「いいや、自分でやるかッ」

 それがこの事務所のきっかけです。朝から働けないというのが本当の理由ですから、多少自虐的になり、懇意にしていた仲間たちに、

 「このたび、めでたく孤立し、特許事務所を開設しました。」

と伝えました。

 誰ひとり、「孤立」を突っ込んできませんでした。

 いまも昔も、優しさに溢れた仲間たちに囲まれています。

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沖縄、浜比嘉島の聖地です。初詣気分で。

番号をちゃんと書いてね

 ──特許を取ったから、もう安心。

 まあ、ふつうはそう思いますよね。でも、広い特許をがっちり取った後でも、うまく自分の製品を守れないことも。今日はそういう「落とし穴」の話。

 

 問題は米国です。米国の特許法第287条は「特許表示」を規定します。

 

「特許がある製品には、『patent』か『pat. 』と特許番号を書きなさい、そうじゃないと侵害訴訟のとき損害賠償を認めませんよ」

 

と言っています。侵害者に警告をすれば、それ以降の分については損害賠償が認められますが、警告の前の分は認められません。なので、製品自体に最初から特許表示をしておかないとマズイです。

 

 日本の特許法では、特許表示は義務ではありません。「努力してね」だけです。その感覚に慣れていると、「米国でも特許を取ったから、うちは万全」と思い、特許表示を忘れがちです。コストだけかかって、不発弾ですよ。

 

 書き方はこんな感じ。

 US Pat. 2,345,678

 

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 製品に直接表示できない場合はパッケージでもよいです。

 

 なお、特許番号を付けるかわりに、特許番号を記載したウエブサイトのURLを表示しても許されます。特許が増減するたびに表示を変更するのは大変だからです。

 

 今日は格調の高い話で、知恵熱が出そうです。

胴長ライオン

 先日、友人が始めるバーの設計をしました。設計といっても、ラフスケッチとだいたいの寸法を決めた程度です。完成してみると、壁が寂しく、絵を掛けることになりました。私は勢いで、

 「おれが描く」

と言い放ち(バーにいると酔うんです)、スケッチをしました。私はネコが好きなので、当然、ライオンは大好きです。(ロジカルだよね?)

 「アフリカン・アーティストになる」

と宣言し、ライオンがいる絵を描きましたよ。

 1作目は Facebook に載せたので、割愛。ちゃんとバーに飾りました。

  やってみるとおもしろいです。昨日は2作目が完成。今回はタイトルがあり、

 『胴長ナイトライオン』

  胴長ナイトのライオンじゃないですよ。胴長なナイトライオンです。

 全体が黒いのは、黒い画用紙を20枚も買ってしまったためです。当面、ナイトシリーズが続きます。

 釣りは精神の統一によいと聞きますが、私の場合、絵がよいようです。絵なんて中学生の夏休み以来ですが、鉛筆の下絵は10分でできてしまいます。こんなのでいいのかな、と不安になりますが、色を塗ると、絵になります。(あら、絵になるって慣用句か。)

 ただ、色を塗るのが面倒くさいですね。下絵はいくらでもできるので、誰か塗るほうに興味ないでしょうか(>_<)

 

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壮大なる現実逃避

 私は20年ほど前、寝落ちしそうな状態で本を読んでいたとき、

 ─クジラの祖先はパキケトゥスという陸生動物でした。

という記述とその動物のイラストに出会い、一気に目がさめました。それはほとんどオオカミでした。

 衝撃ですよ。だって、もともと動物は進化の過程で海から陸へ上がったんです。この子も(!?)、すごい時間をかけてオオカミにまで進化したんです。なのに、なぜまた海に戻り、あんなに欲しかった足を退化させ、魚に戻ったのか。(魚のような形、という意味ですよ。)

 パキケトゥスのイラスト、ネットにはいっぱいあって、載せたいんですが、ネット上の画像は無断使用しないほうがよいと弁理士が言うので、森下画伯が自分で正確に描きました。その衝撃の姿が、これです。

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 どうですか。誰が見ても、オオカミですよね。(あれ?)

 これ、動物としては、完成形じゃないですか。まあ、車で言えばマイナーチェンジぐらいでヒョウとかチーターになれます。私なら絶対にチーターです。

 

 ── 陸で、そんなにいやなことがあったのか……。

 

 いじめでしょうか。

 パキケトゥスはもとのすみかである海に戻り、5000万年の歳月をかけ、現在のクジラになりました。

 

 地上からの逃避。

 気が遠くなるような、この現実逃避。

 

 なんか、疲れたおやじには沁みすぎますよぉ。

 クジラたち、いま深い海底で、幸せだとよいですが、、