プライムワークス国際特許事務所 代表森下のブログです。
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満開にふたつの別れ

 今日からブログを始めます。おつきあいください。

 東京は桜が満開です。いつもこの時期、記憶は大昔に飛びます。

 私もかつて18歳でした。

 早稲田の政経に入りました。一般教養に「相対性理論」があり、かっこいいので、とりました。超常現象の否定で有名な大槻先生の若き日の講義です。

 ところがこの先生、芸能ネタばかり話され、半年たっても「相対性理論」を語られません。学生はだんだん心配になります。空気は伝わります。先生はこう言い放たれました。

 ── 文化系の生徒にそんな難しいもの、わかるはずないでしょ。

 ── 大学というのは、自然科学を学ぶところなのです。なぜ早稲田にくる学力があるのに、そんな簡単なことがわからないのか。

 空気が凍る音が聞こえそうでした。大教室全員を敵に回されました。否、ひとりだけ、

 ── そうかもしれん・・・。

 私はなぜか感動を覚え、発憤しました。翌年、関西の大学の理学部へ入りました。それがいま弁理士という仕事につながっていると思うと、大槻先生のお陰なんですね。先生はご存じありませんが。

 3月の終わり、早稲田へ退学届を出しに行きました。桜は満開、大学では卒業式が終わったところで、明日から散っていく仲間たちの歓声が花の裏から聞こえてきます。

 この人たちは喜びの中でこの大学に別れる。おれはどうなのか。

 ふたつの別れは、だいぶ違います。うしろめたい思いで大学をあとにしました。

 しかし、いまでも早稲田時代の仲間たちは仲良くしてくれます。彼らの心の広さも、この時期に思う事柄のひとつです。

 明日、目黒川の桜を見てきます。